先輩は残念そうに口を尖んがらせていた。
少しは隠して欲しいものだ。

あっ、ニヤニヤ。

そうこうしていると、音の正体がわかる。

歳は二十前半、容姿は端麗な女性。しかし、何かに疲れている感じがした。
勘というかそんな感じがした。

おもむろに女性は池に飛び込んだ。
そのまま、女性は帰って来なかった。

どうしていいかわからず、先輩を見ると、先輩は嫉妬に満ちた顔で呟いた。

「羨ましい」
こんな時にと思って飛び出そうとすると、もう一度呟いた。

「でも美しくないわね。やらなくてよかったわ」

池を見ると水面に映った月の中で、女性の醜い顔が浮かんでいた。