名札。



ある意味それは
個人情報の塊。



それを見れば名前が書いてある。


男はもう一度目を凝らして
女の子の名札をよく見てみる。



名札の名前を読む男。



男の動きが止まる。



そして
ある意味唐突。



唐突にそれは流れた。




涙。




そう。



男は名札の文字を読んだ瞬間
両目から涙を流し始めたのだ。




あふれる涙を拭こうともせず
男は女の子を見つめる。




そして男は女の子にこう言った。





「ごめん…」




男の涙は尽きることもなく
ほほを濡らし続けている。




大事な事を思い出した夜に
純粋な涙を久しぶりに流した
男だった。