一礼をして団長とブレダ殿に背を向けて歩き始めた。 今まで生きてきた中にいつでもあった師匠という標のない世界へ。


「アンザック!」
「……?」
「これを持って行け」


団長があたしをアンザックと呼んだ。


「これは………?」
「光剣ファルクス。アンザックがいつかここへ戻って来たら渡そうと思っていた物だ。デュランダルを没収したからな。その代わりだ。イセルナが持っているといい」
「いいんですか?」
「あぁ。お前は我が息子達に会わせてくれた恩人だからな」
「……そんな大袈裟な」


団長は『さぁ、行きなさい』と笑顔で見送ってくれた。ブレダ殿は複雑そうである。いつも偉そうにしてるブレダ殿も団長には逆らえないんだな。 なんかおかしかった。