End of the transmigration of souls■Chapter1■

後ろに居る………。わかる。わかるけど師匠の顔が見れない。見たらまた涙が止まらなくなりそうな気がして見れない。さっきから師匠の両腕があたしの背中を
昔と同じように優しく抱いている。


「師匠………。あたしもう子供じゃないんだから…。そういうのやめてよ……」


━━━いーじゃん。久しぶりなんだし。


「…………良くないよ」


━━━お前ずいぶん綺麗になったなァー………。


あんなに必死に師匠を見ないようにしてたのに。この人は空気が読めないのか?あたしの顔を覗き込んできた。


「………だからやめてって!」


振り払う様にして後ろを振り返った。
だけど、幽体となった師匠を振り払う事なんてできるわけもなく、『ざんねーん!』と言ってヘラヘラ笑っている。今にも触れてしまいそうな距離で9年越しに見る師匠だった。9年前と同じ。変わらないままの……。


━━━イセルナー。反抗期か?困ったな………。こりゃまたずいぶん遅い反抗期だなー。


この人……… 。本気でこんな事言ってるの?……天然なのか?……なんかこの師匠はもう師匠とは呼べない…。佰憐さん………。なぜあなたは過去にこの男を選んでしまったのですか……?あたし………、恋に恋してた気分です。師匠を美化して見すぎてました……。あんなやかましくて、素直じゃなくて、変態だけど、ゼファすら物凄く大人に見えます…。でもあたし、昔この人が大好きでした……。さようなら綺麗な思い出達よ。


━━━これで全部か?


「全部だよ」


━━━……なぁー!機嫌直せって! 俺が悪かった! まだ怒ってんのか?


「………怒ってません」


━━━ホントにー?


「ホントに」


━━━じゃ、そろそろ行くか。


「行く前にあたし佰憐さんの所に寄ってかなきゃ!」


━━━佰憐に会ってどーすんだよ?


「師匠の事は何もわかりませんでしたって言っとくよ」


━━━それがいいな。あいつをこれ以上
悲しませなくねぇしな。申し訳ねぇや。


「……………」