「執汰ってさあ〜
好きな人とかさあ〜
いないの?」


「好きな人ねぇ〜
いるよ。」


だれ?


「どんな…ひと?」



「優しくて俺のことを
いつも心配してくれる人」

優しい人?


「どこにいるの??」


「さあ〜なあ〜
俺が知らないところ」


私じゃないんだ…


「そっかあ
執汰の気持ちが
伝わればいいね。」


何だか…

ふっ切れた気持ちがする


「伝わったからって
愛しあえるって
決まってないだろ?」



「でも、自分の気持ちは
わかってくれるんじゃないの?」


見上げると

執汰の目は

ずっとずっと遠くの景色を

見ている



「わかっても愛しあえないことには
変わりはないんだよ」


執汰が寂しそうな目をしている


執汰の好きな人は


執汰とは愛しあえない


執汰の知らないところにいる人……