笑顔の理由

「何してんの?」


後ろから聞こえる低い声・・・


執汰?


執汰であって下さい



「玲侍(れいじ)くん。」


執汰と同じクラスの玲侍くんだ


執汰じゃないんだ。


「こんにちは。」


なんでか私は丁寧に

おじぎをした


玲侍くんはそんな私を見て

少しびっくりしてたけど


すぐに笑った。


「元気?
そんなにしょんぼりしちゃって
どうしたの?」



「ううん。何にもないよ」


私は笑いながらそう言って

走るように玲侍くんから

逃げようとした



「執汰じゃないの?」


え?


立ち止まった私に

近づいてくる玲侍くんが

私に言った。



「執汰が言ってたよ。」



すごい速さで振り向いた私に

玲侍くんはまた

びっくりしていた


「何て言ってた?」




「笑和ちゃんに嫌われたって。」