「あ、それ。貰ったんだ!!」

次の日の放課後。

大学の近くのファミレスに美里と二人で来ている。

昨日の報告会とかじゃなく、さっき実験したばかりの実習レポートを書く為なんだけど。

ドリンクバーのアイスティーをグラスに入れて席に着くなり、目ざとく美里は胸元で揺れるネックレスを見つけて騒ぎ出した。

「うん。美里のおかげで、念願の物が手に入りましたー。ありがとね」

左手の指先でネックレスをつまみ、美里に見えるよう軽く突き出してみせた。

「うんうん、似合うよ。カワイイ」

両肘を突いて私の方へ身を乗り出すようにして見ている。

そして、ソファーに座りなおすと「これで安心だね」と美里が笑った。

安心?

「なんか、最近二人の間って波風多かったじゃん?でも、仲直りって感じで落ち着いたし、私はやっと安心して勉強に打ち込めるわぁ」

美里は、右手に持ったストローでグラスの氷をガシャガシャいわせながらかき混ぜて呟く。

嫌味な風でもなく、それは独り言のような自然な台詞だった。

「心配かけて、ゴメンねー」

私もそれに対して、少し眉を下げて申し訳なさそうな表情を作る。

確かに、コレをもらった時、翔は「俺の気持ち…つかお詫び」って言ってたっけ?

じゃ、これはお詫びの品なのか。

そうか、そうなのか。

今さら、プレゼントの意味を理解して、私は妙に納得した顔で何度も頷いてしまった。