私は知ってて知らない振りをする。
だって―――
私の欲しいのは、プレミアのついた観戦チケットでもピカピカに磨きあげられた車でもないから。
取り上げたジャンプをパラパラめくり、目当ての連載マンガを探す。
上機嫌で鼻歌まじりの私を、俊は机に頬杖を付きながら見つめ、そして言った。
「今日、車なんだけど一緒に帰らね?」
きた。
いつか来ると思ってた、この日が。
友達と何人かで一緒に遊ぶ事はあっても、二人きりで会うのは避けてきた。
告白されないように逃げていたから。
イイ奴なんだけど友達以上には見れない。
かと言って、断って失うのも嫌だった。
だから告白なんかされたら困るのだ。
どうにかして逃げなければ…。
「今日は無理」
ページをめくる手を休める事なく言う。
感情が視線に出ないよう、目は絵を見つめたまま。
「な、なんで?」
私がすんなりO.K.するとでも思ってたのか、俊は身を乗り出し私を覗き込んできた。
「何ででも」
「美里ちゃんと約束してるとか?」
「ううん、ない」
「じゃあ、何で…」
俊は開いたページを右手で覆い隠し、本から視線を上げない私を制した。
だって―――
私の欲しいのは、プレミアのついた観戦チケットでもピカピカに磨きあげられた車でもないから。
取り上げたジャンプをパラパラめくり、目当ての連載マンガを探す。
上機嫌で鼻歌まじりの私を、俊は机に頬杖を付きながら見つめ、そして言った。
「今日、車なんだけど一緒に帰らね?」
きた。
いつか来ると思ってた、この日が。
友達と何人かで一緒に遊ぶ事はあっても、二人きりで会うのは避けてきた。
告白されないように逃げていたから。
イイ奴なんだけど友達以上には見れない。
かと言って、断って失うのも嫌だった。
だから告白なんかされたら困るのだ。
どうにかして逃げなければ…。
「今日は無理」
ページをめくる手を休める事なく言う。
感情が視線に出ないよう、目は絵を見つめたまま。
「な、なんで?」
私がすんなりO.K.するとでも思ってたのか、俊は身を乗り出し私を覗き込んできた。
「何ででも」
「美里ちゃんと約束してるとか?」
「ううん、ない」
「じゃあ、何で…」
俊は開いたページを右手で覆い隠し、本から視線を上げない私を制した。

