Mr.Kの恋




 廊下をずんずんと進む片山の手が熱い。掴まれた手首がじんわりと熱い。私は短く舌打ちして、掴まれた手を振り払った。


「バカ片山!」


そう怒鳴って、今度は私が片山の腕を掴んで歩きだす。片山にぶつけられない憤りが私の胸を燻って、酷く気持ち悪い。




「…わっ」


「大体っ…熱で休むってメールしてきた奴が何ふらふらと学校来てんのよ!」


片山を白いベッドに乱暴に投げて、机の横にある冷蔵庫を勝手に探る。だって先生居ないんだもん。何だってあの保険医はこういう時に限って居ないんだ。


「だって」


「あーもうつべこべ言うな。病人は大人しく寝て早退しなさい」