「いやぁでも片山くんと更沙はセットでしょ。“あの”片山くんの唯一の親友だなんて女の子から羨ましがられまくりじゃん」
そうなのだ。あんな頭のネジが全部緩んだような男でも顔が良いと女の子は寄ってくる。しかも顔が良いとかいうレベルじゃなく恐ろしく整っているのだ。それがまた奴のミステリアスさに拍車を掛けている気が激しくするのがまたはた迷惑な話なんだけど。
「羨ましがられてもこちとら全然嬉しくな「おはよー更沙」
………出た。
ていうか、何で。
「あ、んた何で居んのよ」
「あ、園村さんもおはよ」
「おはよー片山くん!」
だから無視すんな。
「ちょっと…!片山、ね…」
言い終わらない内に、片山が座っている私の腕を掴んで無理矢理立たされた。そのまま回れ右して足早にドアに向かう片山。
片山の突然の行動にびっくりしている親友を振り返って、取り敢えず視線で謝っておいた。瞬時に状況を理解したらしい親友のほぐれた笑みにほっとした。
