「賀田桐さんに馬鹿呼ばわりされるなんて、殺しちゃった妻は世も末だね」


「どーいう意味よ、一体。え?」


ぎろりと奴を睨むと、片山は一瞬真顔で目を伏せた後、私の方を向いて笑った。にっこりと、嬉しそうに。


「うん、そっか。さすが賀田桐さん。頭の造りが他の人と違う分、回答が独創的だ」


「あんた、遠回しに私の事けなしてるでしょ。この奇人」


「やだなあ。じゃあ奇人の僕と居る賀田桐さんも仲間で奇人だ」


「好んで一緒に居るわけじゃないから」


「でも居心地は悪くないでしょ?」


「……!」


「ふふ、賀田桐さんってば馬鹿正直」


「ううううっさい…!」


 この時暗に奴の質問の解答をはぐらかされた事に気付かなかった私は、本当に馬鹿かもしれない。後でそれに気付いた私は激しく奴に不満を爆発させるけど。そしてそんな私を片山が穏やかな顔で見てたなんて、それこそ気付くはずもなかった。