気まずい。


さっきから頭の中を占める言葉に、酔いが冷めていくのを感じた。合コンという名の飲み会から連れ出された私は、相変わらず片山の隣に居た。逃げようにも右手をがっちり握られているからできない。しかも気まずい原因である片山は一言も喋らないし。


 怒っているのだけは確かだ。普段は下がり気味な眉毛が上がってる。しかもあの片山が眉間に皺なんか寄せて。明日はプリンが降るかも。


そんな事はどうでもいいからこの空気を何とかしていただきたい。大体片山の希少価値顔なんて今は興味がないのだ。精神的にいたぶられてる気分。


「…片、山?」


 沈黙に耐え切れなくなって、片山の名前を呼んだ。ぴくりと片山の手に力がこもる。