片手でパンを頬張りながらもう片方の手で器用に携帯をいじる。私にはそんな芸当はできないだろう。可愛らしくデコレーションされた長い爪を見て、小さく感嘆した。
愛すべき親友ははからずしも放任主義ではないらしい。よく言えば人懐っこい、悪く言えばおせっかい。この微妙なラインは未だに淘汰できない。
「でも、」
「でもも何も。あんた最近イケメン片山くんがべったりで他の男が近寄らないじゃない。だからたまには普通の男とも接しなさいよ」
淡々と言い切って、はい決定。と有無を言わさず放課後の合コン行きが決定された。というより片山を褒めるかけなすかどっちかにしてくれ。
そしてどうやら私に拒否権はないらしい。にしても合コン。合同コンパだっけ。
片山は、どう思うんだろうか。
こんな時まで片山を気にする私。もう苦笑を通り過ぎて笑えない。こんなのジョークのネタにもならないじゃないか。
