「…あんたいっつもプリンよね。たまにはゼリーとかフルーツとか爽やかなもの食べなさいよ」


「だってゼリーは透明じゃん。透けたものは何か自分の中まで透けて視えそうな気がして嫌」


駄々っ子みたいに口を尖らせて言う片山。その姿でさえ可愛いと思う私は恐らく末期だ。手遅れすぎる。


ていうか中が透けるってなに。臓器が透けて見えたらホラーだろ。


「あ、言っとくけど現実的な意味の“見える”じゃないからね。間違っても胃とか腸が見えるスプラッタじゃないから」


 先手を打ったとばかりに私の思考を読んだみたいな言葉を頂戴した。ロコツに顔をしかめた私にやっぱり、という表情をする片山。…単純で悪かったわね。


「…うっさいわね。あんたの言い方が悪いのよ」


「まあ平たく言うと僕の心の内が透けそうでやだって話」


簡潔に纏めた片山は抑揚のない声で言って、席を立った。奴に掴まれた腕とともに私も立ち上がる。片山はそんな私に柔らかく微笑んだ。形の良い唇がゆるりと弧を描く。


「ね、久しぶりにさ。図書室行こっか」