「ちょ、38.9℃って…あんたやばいんじゃないの」


 半ば押し倒すようにして片山を寝かせると、片山はふふっと笑って私のブレザーの裾を撫でた。心なしか片山の顔が赤い。瞳も涙目でうるうるしてて、多分何も知らない女子が見たら鼻血ものだ。


そんなフェロモンむんむんな片山を前にしてケロリとしてる私は、片山のファンに殺されるとか以前に女としてどうなのかもしれない。いや、だってあの奇人変人片山だもん。


「更、沙」


「何?ポカリとか買ってきだほうがいい?」


 しまった。さっきは驚き過ぎて気付いてなかった。


この男は、さっきから私を何て呼んでる…?


「ちょ、あんた更沙って」


「こないだ許してくれたじゃん」


そういえばそんな事があったような。片山は勝ち誇った笑みでまた私の裾をするりと撫でた。掴まない所が片山らしい。


片山はもう一度更沙、と私の名前を呼んだ。