危険な彼女

「なな、なっちゃん…
わ、私のも食べて?」




亜紀は突然俺の目の前に箸で卵焼きを持ってきた。


亜紀に手渡された弁当を見てみると、いつの間にか包みが開けられていた。




「え?
あ、わかった」




俺は桜の弁当を置き、亜紀の弁当を手にとった。


すると………





「わ、私がたたた、食べさせて、あああげるね………」




「………は?」





――いきなり何を………





「あ、あ〜ん………」





――………マジで?






まさかまさかの出来事だった。


先程、箸で持っていた卵焼きを
亜紀は俺の口に運ぼうとしていた



予想外の展開に俺は困惑する…





「あ、亜紀?
そそそのくらいは俺、できるから………な?」




「………だめ、かな?」




「いや、だめじゃないけど………」




―いろいろと恥ずかしい…




「じゃ、じゃあ…
あ〜ん………」




「え、いや………



あ、あ〜ん………」




―何やってんだ俺は………




そう思いつつも、俺の口は自然と開いていた。


そりゃそうだろう…


目の前で子猫のような潤んだ瞳の
美少女に見つめられながら
『あ〜ん』…



思春期の男には断れというほうが
無理である。