危険な彼女

ガチャ………




俺は屋上のドアを開けた。


扉を開けてすぐ、真っ先に長い黒髪を揺らす桜の姿が視界に入った。


すると、桜が俺に気づいたらしく
ゆっくり振り向く…





「え………?
な、泣いてたのか?」




よく見ると、うっすら
目が赤い………

多分、泣いてたのだろう




「う、うるさいッ!!
私は泣いてなんかないんだから!!!」




「目、赤いけど…」




「………う、うるさーいッ!!!」





――お前のほうがうるさいんだけどな………





そんなことを思いながら、
俺はゆっくり桜に近寄った。


桜はいつもと違い、
弱々しく、儚くみえる…





「で、どうしたんだ?」