危険な彼女

「何で………?」



「………え?」




胸の中で、泣き声と混じりながら言葉を出す。



しかし、何で?、と言われても何のことか分からなかった。




「何で私なの…?

亜紀ちゃんのほうが………」




「………そんなの決まってるだろ」




「お父様がクビにされるから?」




「ばぁか。

んなわけねぇよ」




「でも…、でもでもでも!!!

私、亜紀ちゃんに比べていいとこなんて何も…」




子供みたいにだだをこねるように言う桜。



いつも強気なくせに、何でこんなにこいつは…




「………理屈じゃないんだよな」



「………え?」



「何で好きになったから…とかじゃないんだよ。

好きだから好きなんだよ。

そばにいたいって思ったんだよ」