危険な彼女

「それじゃあ…なっちゃんは学校に行って」



「………?

何で…学校?」




ごしごしと目をこすり、涙をぬぐうと、亜紀はにっこり笑って言った。




「………桜ちゃんが待ってるから」




――!




一瞬、何を言われたのかわからなかった。



今、この状況で、亜紀がそんなことを言う意味がわからなかった。



奈津は呆然としたまま、次にくる亜紀の言葉を待った。




「………私、言ったよね?

何となくだけど…なっちゃんが桜ちゃんを好きだってわかってた…って。

だから………」




笑いながら、そんなことを言われてもどうすればいいのか。



何で、亜紀がここまで自分にしてくれるのかさっぱりわからない。



桜は亜紀にとって恋敵で、俺は亜紀を傷つけた男。



なのに………




「な…何でだよ………?

何で、そんなことできんだよ!?」




混乱と疑問を感情のままにぶつけた。



だが、亜紀の表情は変わらなかった。