危険な彼女

「ねぇ、なっちゃん…」




亜紀は、足を一歩後ろに下げた。



そして、胸に手を当てた。




「私、なっちゃんを好きになってよかった…

なっちゃんだから…

なっちゃんだったから…

好きになったことを後悔しないで前を見れる」




ふいに、奈津も泣きそうになった。



亜紀の言葉の一つ一つが、奈津の心に溶けていく感じがした。



そして、こう、強く思える。





「………俺も」



「え?」



「俺も…亜紀を好きになってよかった。

亜紀だから…

亜紀だったから………

俺は…強くなれた。




だから………ありがとう」




亜紀の目をそらさずに、まっすぐに見る。



亜紀の目には、少しだけの寂しさと、大きな喜びがあった気がした。