危険な彼女

亜紀は、涙を流すまいと必死にこらえながら奈津に笑みを向けていた。




「私、わかってた。

心のどこかではわかってたんだ。


なっちゃんは、桜ちゃんが好きなんだ、って…」



また、亜紀の目から涙がこぼれ落ちた。




「でも、認めたくなくて…

否定してて………


気づいたら、私、どんどん嫌な子になってて………」




「そんなわけ………」




「あるんだよ…。

私、なっちゃんと桜ちゃんが仲良くしてるのを見るの、本当はいつももやもやしてた…」




「……………」




「なっちゃんね、桜ちゃんといるとき、本当に楽しそうだった。

私と一緒にいるときには見せてくれない顔だった」




奈津の表情が曇った。



今すぐ亜紀に微笑んでやりたい。



手を握ってやりたい。



そんな気持ちが奈津の頭に信号を送った………




でも、体は動いてくれなった。