危険な彼女

奈津は静かに目を閉じ、ふぅ、と息を吐いた。



それからゆっくりと目を開け、決意したように口を開いた。




「俺さ………

ずっと、亜紀のこと、幼なじみとしてしか見てなかった」



「………うん」



「でも、姉ちゃんに言われて初めて、亜紀がただの幼なじみじゃないんだってわかった」



「………うん」




奈津の言葉の一つ一つを噛みしめるように言葉を返す。



亜紀の表情は、相変わらず穏やかなままだった。




「亜紀が側にいると、いつもドキドキしてて…

いつも落ち着かなくて…

でも、あったかくて………




………それで、思ったんだ。

俺は亜紀のことが好きなんじゃないか?…って」



「……………」



「俺、人を好きになるってのがよくわからなかった。

でも、亜紀と一緒にいることで、好き、ってことが何となくだけどわかった気がするんだ」



「………うん」



「ありがとな…亜紀」