危険な彼女

「亜紀」




ゆっくりと亜紀に近づいて、彼女の名前を呼ぶ。



すると、亜紀は慌てた様子もなく、奈津を見た。



ふいに、ニコッと笑った。




「はは………ちょっと、寒くなってきちゃった」




あいさつがわりに、亜紀はそんなことを言った。



いつもの亜紀なら、寒くない、と無理するんだろうが、今日は素直に寒がっていた。



そして、その表情が穏やかで落ち着いたものに変わると、ゆっくりと口を開いた。




「なっちゃん…答えは出た?」



「………ああ」



「そっか………

………それじゃあ、聞かせてください」




亜紀はペコッと一礼した。