危険な彼女

午後六時、奈津はマフラーを首に巻き、家を出た。




さっき、亜紀からメールがあった。





―六時半に約束の場所で―





亜紀にしては、素っ気ない感じのメールだったが、奈津は気にしなかった。



答えは出ていた。



あとはこの気持ちを伝えるだけ。



気持ちが上がることはなかったが、その逆、下がることもなかった。




「……………」




奈津はすっかりクリスマスムードの街並みを無言で歩いた。



周りの風景なんて目に入っていないのか、壮大なイルミネーションを前にしても目移りすることはなかった。




そして………




街にある、大きなクリスマスツリーの側まで来ていた。



そこには、少し寒そうに身を固まらせて立つ亜紀の姿があった。