危険な彼女

「で、あんたはいっちょ前に恋の病ってわけ?」




何故わかった、とは言わなかった。



亜紀や桜にすら気づかれるのだ。



彩芽に気づかれないだなんてことはありえないだろう。




「悩んでたのは認めるけど、恋の病ってのはおかしいだろ…」



「あら、そうかしら?

高校生なんて常に恋の病にかかってるようなものなのよ?」



「…知らねえ」




軽口を叩き合い、少し間ができる。



そして、彩芽はゆっくりと口を開いた。




「………亜紀ちゃん、もしくは桜ちゃんと何があったの?」



「………言いたくねえ」



「奈津、言っとくけど…

恋愛なんて誰かに相談して普通。
それがカッコ悪いわけじゃないわ」



「……………」




奈津は黙り込んだ。