「………ごちそうさま」




奈津はそう言って、箸を置いた。



そんな奈津の様子に家族全員が頭上にハテナマークを浮かべた。




「奈津…あんた熱でもあるの?

いやいや、馬鹿は風邪をひかないわよね…」



「………何でもない」




彩芽はますます驚いた。



自分の言った嫌味にも反応を見せない奈津を、珍しいものを見るような目で見た。




「あんた………どうしたの?」



「だから…何でもないって」




吐き捨てるように言うと、奈津は階段を上がり、自分の部屋に向けて足を進めた。



答えはまだ出ていない。



だから、考えないといけない。



そのため、奈津は一人になりたかった。