危険な彼女

「な、何だよ…?」



「なっちゃん、私ね、小さいときから一緒にいるから、なっちゃんの癖、知ってるんだよ?」



「え………?」



「なっちゃん、状況が悪くなったら頬をかく癖があるんだよ?」




――!?




慌てて頬をかいていた指を離した。



意識なんてしていなかったが、亜紀の指摘通り、確かに頬をかいていた。




「なっちゃん…何があったの?」



「……………」




亜紀にじっと見つめられ、どうしようもない感情が暴れまわった。



何があったかなんて言えるはずがない。



桜に好きだって言われた。



そう言ったら、亜紀はどんな気持ちになるだろう?




………傷つくのだろうか。





しかし、沈黙を続けようにも、亜紀の目には妙な力があり、避けることができなかった。



もう隠せない。



奈津はそう悟り、決意した。