危険な彼女

しばらく沈黙が続いた。




「なっちゃん…何かあったの?」




奈津の様子がおかしいと感じたのか、亜紀は心配そうに奈津を見つめた。


その姿が、一瞬桜と重なり、思わず顔を背けてしまう。




「なっちゃん………

どうしたの…?」




そこでハッとする。



このままでは桜と同じだ。



普通に接してやれないで、相手を傷つける。



そんなこと、絶対にしてはいけないことだ。



奈津は無理矢理に自分に言い聞かせ、いつもの自分を演じようとした。




「べ、別に何もないぞ?

それよりケーキありがとな!
後で食べて、感想言うよ!」



「………なっちゃん」



「まあ、亜紀が作ったのなら、何でもおいしいんだろうけどなぁ…」



「………なっちゃん!!」




一瞬、耳を疑った。



亜紀が、今まで聞いたことのないような大声をあげていた。