危険な彼女

奈津の家の前に立っている人影に気づいたのは、だいぶ家の近くまできてからだった。



考え込んでいたせいか、まったく気づかなかった。




「あ………な、なっちゃん…」




亜紀だった。



亜紀は、暖かそうな服装で身を包み、手にはケーキを買ったときに入れられるような箱を持っていた。




「ど、どうした…?」



「こ、これ…
ケーキ作りの練習したから…」




そう言って、亜紀は恥ずかしそうにその箱を奈津に渡す。



奈津は、急な展開に慌て、ぎこちない動作でそれを受け取った。




「それなりに上手にできたから…

で、できたら感想とか聞かせてくれたら嬉しいな…」




亜紀は、顔を真っ赤にして、照れ笑いを浮かべた。