危険な彼女

奈津は、重い足取りで帰路についていた。



足が鉛のように重く、体が自分のものではないように感じた。




「……………」




奈津は、これからのことを考えていた。



桜に好きと言われ、亜紀に好きと言われ、もう迷うことは許されない。



どちらかの女の子を選ばなければならない。



だが、それは片方の女の子を悲しませることになる。





………もちろん、そんなことはしたくない。



でも、だからと言って、このまま現状を維持するなんて二人に失礼だ。




――俺…どうしたらいい………?




誰かに教えて欲しかった。



答えを。



みんなが幸せでいられる答えを。





…もちろん、そんな、夢のような答えなんて存在するはずない。