危険な彼女

「何ぼーっとしてんのよ!?

あんたここで凍死する気!?」



「あ、いや………ごめん」




素直に謝る奈津に、桜は首をかしげた。



そして、片方の手袋を外し、奈津の額に手をやる。




「熱は………ないみたいね。

どうしたの?
なんか気分でも悪い?」




心配そうに自分を見ている桜。



普段は邪険に扱うくせに、こうゆうときは優しくなり、心配してくれる。



こうして見ていると、やっぱり桜は性格が悪いわけではないと思う。



ただ、不器用で…その表現方法を知らないのだ。




「何でもない………」



「何でもなくないわよ。

………なんかあったの?」



「だから…何でもないって。

ほら、早く行こうぜ」




――そうだ、何でもない…


桜には関係ない…


これは………俺の問題だから。