危険な彼女

「だから…梓さんにクリスマスプレゼント買いにいくだけ………」



「そんなのただの口実じゃない。

好きな人と一緒にいたい、って思ったから桜ちゃんは行動したのよ?

それをあんたは真っ向から否定。

そんなの、桜ちゃんがかわいそうよ」




彩芽は両手を絡ませると、そこに顎をおいた。



そして、奈津に視線を合わせず、目の前にある本を見ながら言葉を続ける。




「あんたがどう思っていても、あんたを好いてる女の子と買い物。

軽い気持ちでひきうけてんじゃないわよ」



「………!」




思わず苦い表情になる。



彩芽の言葉は間違っていない。




自分は何を考えていたのだろう。



どっちつかずのまま、亜紀に返事をすることもなく、桜と買い物。



そんなこと、簡単に行っていいはずがない。



亜紀が悲しむ。



だが、断っても桜が悲しむ。




「……………」




奈津はうつむいたまま、玄関に立ち尽くした。