危険な彼女

「了解了解。

んじゃ、また後でな」




そう言って、奈津は電話を切った。



そして、とりあえず一階に下りる。




「姉ちゃん、ちょっと出かけてくるわ」




姉の彩芽は本を読んでいた。



めんどくさがりな姉にしては、またとない光景である。



ついでに、いつもはかけていない眼鏡までかけていた。




「あら、どこか行くの?

もう4時前よ?」



「なんだけどな。

桜が梓さんに…って姉ちゃんは知らねぇか………

桜が桜のお兄ちゃんにクリスマスプレゼントを買っておきたいんだと。

それを選ぶのに付き合えって電話があったから」



奈津の言葉に彩芽の目の色が変わった。



そして、顔を下げ、眼鏡のすき間からのぞき込むようにして奈津を見る。




「な、何だよ………」



「べつにぃ…

まあ、せいぜいデートを楽しんできなさい♪」



「なっ…!!!」




奈津は激しくむせた。