危険な彼女

昨日の美冬の話はこんな内容であった。



『手作り弁当を持ってくる』



ただそれだけである。



「ううん…何でそんなものが必要なのかなぁ…?」というのは早朝の亜紀のひとりごとだ。



美冬が言うには、健全な男子高校生は女の子の手作り弁当の前にいちころらしい。



よく意味はわからないが、他に頼る手段もないわけだし、素直な亜紀はすんなりそれを実行した。



「………は?

な、何で弁当………」



「い、一緒にたたた食べちゃ……

………だ、ダメかな?」


体に緊張が走った。


亜紀の脳内に浮かぶのは悪い結果ばかり。



ああ、やっぱりダメだ。


多分、この弁当は放課後近所の犬のエサになるのだ。


その食べっぷりを見ながら自分はため息をついて泣くのだ。



そして――



「まあ………

別にいいけど………」



………最終的に奈津の口に入るのだ。