しばらくの間。



この時間が奈津にどれほどのプレッシャーを与えたことか。



奈津は固まったまま、桜の言葉を待った。




『………まあ、いいわ。

そんなに急ぎの用じゃないしね』




ミッションコンプリート!



柳奈津二等兵、無事生還。




などと、奈津の脳内でファンファーレが響いた。




「………で、何かあったのか?」




任務を終えた奈津は落ち着いていた。



おびえる様子など微塵もなく、今や対等の位置にいた。




『あ、そうね……
用事…だったわね………』




――また言いづらいことか………




お決まりのパターンに奈津は苦笑いだった。



桜が言葉に詰まる、イコール桜的に言いづらいことなのである。