家に帰った奈津は青ざめていた。



たしかにこれは自分に非がある。



忘れていった自分が悪い。




「桜からの着信ね………」




奈津は、これはまずい、と流れる冷や汗を必死にぬぐった。



ただでさえスリーコール以内だのワンコール以内だの無茶苦茶言う桜である。




それに出なかったら?




奈津は自分の人生の終わりが近づいてきているような気がしてならなかった。




「と、とりあえず…だな………」




二、三回深呼吸をする。



この先、どんな地獄が待っているのか、奈津の頭の中はそれでいっぱいになっていた。



それを振り払うように頭をブンブンと横に振り、恐る恐る桜に発信する。



かけておいてなんだが、お願いだから出ないでと思う奈津であった。