悩む奈津を見て、美冬は肩をすくめ、それから犬の置物を奈津の顔面に突きつけた。




「ほら、あんたそっくりの犬の置物」



「………?」




何を言っているのか分からず、奈津はキョトンとした。



しかし、美冬は相変わらず奈津に置物を突きつける。



犬の顔を奈津の頬にグリグリとこすりつけ、美冬は少し意地の悪い顔をしていた。




「これ、買いなさい」



「何でそんなこと命令されなきゃならないんだ!?

お前に買ってやる義理もねぇだろうが!!!」



「馬鹿ね、私にじゃなくてあんたの好きな人に、よ」




奈津は固まった。



それから意味を理解し始める。




「あんたが本当に好きな子に、これをあげなさい。

これをあんたの"答え"としてね」




何だか無理矢理買わされそうになっていたが、奈津は妙なことに買ってもいい気がしてきた。



これが、俺の答えとなるなら。



気持ちが、伝わるなら。




なら………






奈津は、あくまでも渋々それを買うことにした。