危険な彼女

奈津は相変わらず人混みを見ている。



どこかに穴はないかと凝視しているのだ。




「………まったく、あんたって何でそんなに馬鹿なのかしら」




誰が馬鹿だ!、と叫ぼうとして美冬の方を見ると、美冬は自分に何かを差し出していた。




「え…?」



「今見てみたらお一人様一パックまでだったわ。

だから、これはあんたにあげる」




美冬が差し出していたものは、目の前でタイムセールス中のお肉のパックだった。



予想外の行動に奈津は目を丸くする。



美冬に優しく(?)されたのはおそらく初めてのことだった。




「ほら、通行の邪魔だから、早く立ちなさい」



「お、おう………」




奈津は恐る恐るパックを受け取ると、ゆっくりと立ち上がった。