危険な彼女

突進すること数回。



吹き飛ばされること数回。



さすがに奈津も諦めモードに入りかけていた。




「く…そぉ………」



「あんた、何やってるの?」




その声に驚いたのは言うまでもない。



奈津は、え?、という一瞬の虚の後に振り返った。




「み、美冬さん………?」



「何でさん付けなのよ?

………気持ち悪い」



「きもっ………!?」




奈津は結構傷ついた。



そもそも本人の目の前で、気持ち悪い、って言うのはあんまりに思えた。



せめて小声で言ってほしい。



せめて自分の前でいないところでぼやいてほしい。




奈津は、そんな虚しい願いを密かに思った。