危険な彼女

奈津はゆっくりと、自分に覆い被さっている桜をどけると、はあ、とため息をついた。



ここ最近で一番疲れたような気がした。




「ったく………

こいつはほんと、人を振り回してくれるよ………」




奈津は恨めしそうに桜を見た。



当の桜は静かに寝息をたて、すっかり夢見心地だ。



多分、起きた頃には、あんた私に変なことしなかったでしょうね?、とか言って悪態をつくのだろう。



酔っ払っていた桜が、今日の出来事を覚えている可能性は皆無である。




「………好き、か」




酔っ払っていたとはいえ、奈津は桜に告白された。



変にモヤモヤするのは当然と言える。



奈津はそのモヤモヤをかき消すかのように頭をがーっと掻いた。