危険な彼女

「お、おい…桜………?」



「なちゅだぁ…」




桜の目はとろんとしていた。



顔は真っ赤で、しかし、表情は嫌というほどにやけている。




"明らかに"桜は酔っ払っていた。




「と、とりあえず寝てろ、な?」



「やだ」




――やだってお前………



奈津は、少し呆れたような眼差しで桜を見た。



しかし、桜は相変わらず甘ったるい視線のまま奈津に覆い被さったまま。



どく気配は微塵もない。



「なちゅは、わたしのこと…きらい?」




首を小さく傾げ、悲しそうにつぶやく桜。



こんな状態で、そんな表情をされて、奈津が冷静でいれるはずがない。



奈津はどぎまぎした表情のまま、桜を見た。




驚くほどかわいい桜。




こんな表情、奈津は初めて見たかもしれない。