危険な彼女

そこまで考えたところで、奈津は少し恥ずかしそうに頭を掻いた。



桜に素直になれ、と思いつつも、自分だってこんなことを心の中で考えている。



結局、人間という生き物は、心の中を全て吐き出すことなんてできない。



奈津は、少しだけ大人になった気がして、少し照れくさくなっていた。




「………おっと、鍋のこと忘れてた」




そろそろ鍋の様子を見にいかなければならない。



奈津は慌てて部屋を出ようとした。





………が、どうゆうわけかドアが遠ざかっていった。



首に何かが巻きついたかと思えば、次の瞬間、奈津はベッドの上で天井を向いていた。



何が起きたのかさっぱり分からず、奈津は困惑した表情のまま、その原因を見た。




「なつ………」




微妙に発音がなっていない。



何がどうなったのかはわからないが、奈津のベッドの上、奈津は桜に押し倒されたような体勢になっていた。