危険な彼女

「よっこらせっ…と」




奈津は背中におぶっていた桜をベッドに下ろした。



念のために言っておくが、いかがわしい動機ではない。



あの後、つまり、酒を飲んだ桜に誤ってさらに焼酎を飲ませてしまった後、桜はそのままわけの分からない言葉を発して気を失った。




このまま放っておくわけにもいかず、奈津は自分の部屋のベッドまで運んできた。



何故、自分の部屋かというと、今から客人用の布団を出すのはめんどくさいし、彩芽の部屋に入る勇気がないからである。



「しっかしまぁ………」




すー、すー、と寝息を立てる桜を見た。



顔が真っ赤だが、ため息がでるほどぐっすり眠っている。



その姿は、実年齢よりも少し幼げで、一見、中学生とも見えかねなかった。




こうしてみると、いつもの桜は仮の姿で、本当はこっちの姿なんじゃないかとすら思えてきた。