危険な彼女

美冬はそんな奈津をしばらく、じーっと見続けた。



天井を見上げていた奈津も、さすがに美冬の視線に気づいたのか、不満そうな顔をする。




「………何だよ」



「べっつにー。

ただ、あんたって意外と私のこと評価してたんだなぁって思って」



「意外で悪かったな…」



「まあ、そんなに拗ねないでよ。
ちょっとは嬉しいんだから」




一瞬、奈津は、え?、と困惑した表情を見せた。



一方、美冬はそんな奈津など気にする素振りなど見せずに言葉を続けた。




「そうね、やっぱり結婚はしたいな。

二十代で結婚して、子供は二人、男の子と女の子の一人ずつ。

旦那はうだつが上がらないけど、家族のことをちゃんと考える人。

で、私は専業主婦で、たまーにパートとかをやって生計を立てるの。

老後は、時々遊びに来る孫と会うのを楽しみに、ゆっくりとのんびり暮らすってとこかしらね」



「そんなに詳しく話さんでも…


…ってか、案外普通だな」



「普通がいいのよ、私は。

普通に生きて、普通に幸せ」




そう言って、美冬はイスに背を預けると、天井を見上げた。