危険な彼女

「………みんなは?」




よろよろとした足取りで、厨房に置いてあるイスに座った。



それに対し、美冬は器用に電卓を打ちながら答える。




「ライブ。

みんな体育館行ったわ」


「ああ、ライブか………


………あれ?
何でお前は残ってんの?」



「売り上げの集計よ。

そもそも私はライブとかそういうのに興味ないもの」




美冬は奈津に一切視線をくれず、パラパラと材料の消費量が書かれた紙に目を通していた。



かわいいの他に、綺麗、秀才とゆう表現も似合う美冬がやると、その仕草はどこぞのお偉いさんの秘書さながらである。



しかし、今の奈津に美冬をぼーっと眺める余裕などなく、ただぼんやりと天井を見上げた。