危険な彼女

奈津に頭を触られ、桜は数秒間、石のように固まった。



石のように固まったくせに、顔の方は真っ赤なままである。



そして、数秒後、意識を取り戻した桜は、ハッと我に返り、奈津の手と顔に視線を送った。




「んな……な………ななななな………」



「ん?」




桜が落ち着いたとばかり思っていた奈津は、勘が鈍くなっていた。



よって、自分の身の危険に気づいていなかった。




「ああああんたねぇ………」



「………さ、桜さん?」




そして、ようやく気づく。



心なしか、桜の背後に鬼が見えていた。




「誰がご主人様に触れていいって言ったぁーーーー!!!!!」




ドゴーン、と何かが爆発した(音がした気がした)。