危険な彼女

クレープを食べ終わると、奈津は近くに常備されていた水を口に含んだ。



ゴクゴクという音が響く。



そして、バン!、と机にコップを置いた。




「ふぅ………」




短く息をはき、呼吸を整えた。



数秒後、奈津は桜へ顔を向ける。




「うまかった、ごちそうさま!」



「………っ!!!」




泣いていたため、もともと顔が赤くなっていたのだが、奈津の一言で桜の顔は蒸気を発するように赤くなった。



そして、きれいになった皿と、奈津を交互に見て、恥ずかしそうに口を開く。




「………とに」



「………ん?」



「…ほんとに…おいしかった?」




その言葉に、奈津は肩をすくめた。




「おいしくなかったら一口目で止まってるっての。

安心しろって、ほんとにうまかったから」




そして、笑いながら桜の頭にポン、と手を置いた。