危険な彼女

女の子の涙に弱い。



男ならおそらく誰だってそうであり、奈津においては極度に弱いのだった。




――うぅ………


クレープ一つで泣かせてしまった………




何だか奈津も泣きたい気持ちになってきた。



もらい泣き、とゆうわけではないが、混乱からくる感情だった。




奈津は、必死に感情を押し殺し、テーブルの上にあるクレープに視線をうつした。




「………ふぅ」




一息いれ、バッとクレープにかぶりつく。



生クリームの甘さが口の中を一気に広がった。



そして、ガツガツと二口、三口と食べ進めていく。



視界の端にうつった桜は、そんな自分を呆然と見ているようだった。




とうとう後一口となり、奈津は最後の一口も一気に口に入れた。