危険な彼女

「………く、クレープ」



「クレープね、分かった!」




クレープと言われ、急に桜はテンションが上がった。



たたっと走っていく桜の後ろ姿を眺めつつ、奈津は不安げな顔をする。




――なんだ、クレープには自信あるのか…?




そんなことを考えつつも、あまり期待はしていなかった。




まず、桜は生地をちゃんと焼けるのか?



盛れるのか?



巻けるのか?





…いや、ないだろう。



まだ半年くらいの付き合いだが、桜のことは結構分かっているつもりだ。




結論から言うと、桜は、恐ろしいほど不器用なのだ。



もっと言うと、一つ一つが非常に雑である。




柔らかい生地を優しく、優しく、などと桜ができるとは到底思えなかった。