美冬は高圧的な笑みを浮かべると、さっと体を反転させ、拳を上げた。




「さあて、それじゃあみんな準備はいい?」



「「おぉーーー!!!」」




元気よく、声を上げるクラスメート達。



何がお前らをそこまでかきたてるんだ、と奈津は少し苦笑いを浮かべる。




「打倒五組!!!

はりきっていくわよっ!!!」



「「おぉーーー!!!」」




さっきより若干声が小さい。




――そういやイチゴだったな、一組と五組は。




奈津はぼんやりと、一組と五組のカップルが多いことを思い出していた。




「声が小さいっ!!!

ファイト〜………」



「「いっぱぁーつ!!!」」




――……………




もはや奈津は言葉が出なかった。



いささか暴走気味のクラスメート達を、はたから暖かいとも冷めたともとれる視線を送った。




「ってか、美冬ってこんなキャラだったか…?」




美冬の新たな一面に、奈津ははあ、と疲れたため息をついた。